ジャミングは、衛星航法を困難にしたり利用できなくしたりする。スプーフィングは、利用可能に見せたまま、受信機に偽の位置や時刻を与えることがある。民間航空機や船舶にとって、後者は特に紛らわしい。画面に確信をもって表示される位置が、正しいとは限らないからだ。
どちらも全地球航法衛星システム、GNSSに影響する。GPSはその一つである米国のシステムで、欧州のGalileoなども同じ分類に入る。すべてを「GPS障害」と呼ぶと、どの情報が影響を受けたのか、受信機は信号を失ったのか偽情報を受け入れたのか、という二つの問いが曖昧になる。
信号を失う場合と偽信号を受け入れる場合
ジャミングは正規の衛星信号の受信を妨げる。スプーフィングは、受信機が本物の航法情報と解釈しかねない偽信号を与える。一つの事象に複数の効果が含まれることもあり、航法異常の通報だけでは仕組みを特定できない。この二つの用語が表すのは干渉の作用であり、実行者ではない。
違いは地図上を動く点だけの問題ではない。衛星システムは測位、航法、時刻を提供し、まとめてPNTと呼ばれる。こうした入力に依存する機器は、画面が動いていても誤りを引き継ぐ可能性がある。複数の表示装置が同じ入力源に依存していれば、表示の一致も独立した確認とは限らない。
2026年10月1日にオンライン公開された英国海事沿岸警備庁の指針MGN 719が広い依存関係を扱うのは、そのためだ。航法装置、船舶交通サービス、港湾業務、時刻に依存するシステムへの影響を挙げている。これはリスクと備えを示す文書であり、特定事故の原因を確定するものではない。
民間への影響は紛争地域にとどまらない
2025年3月25日、国際民間航空機関、国際海事機関、国際電気通信連合は、航空、海運、通信サービスへの干渉について共同警告を発した。従来型の航法インフラの維持、事象報告の改善、民間当局と軍当局の連携を推奨した。対象は人道活動を含む民間の安全である。
実務上の問題は依存関係だ。航空機が誤った航法情報を受け、船舶の位置情報が不確かになり、陸上サービスが同じ干渉の影響を受けた情報を取り込む可能性がある。結果は装備、ほかに使える情報、乗員の対応で変わる。干渉の報告は、墜落、衝突、操縦不能を意味しない。
偽の航跡も、機体や船が実際にその経路を通った証拠にはならない。放送型自動従属監視、ADS-Bは航空機情報を送信し、その中には機上航法装置から得た位置が含まれる場合がある。したがって、画面が示しているのは誤って報告された位置かもしれない。画像の解釈にはデータの出所を知る必要がある。戦闘映像の解釈で映像と説明文を切り分けるのと同じだ。
公表された数字は何を数えるのか
国際航空運送協会が2025年2月26日に出した2024年安全報告の発表は、同協会のIncident Data Exchangeを用い、2023年から2024年にGNSS干渉率が175%、GPSスプーフィング事象が500%増加したと説明した。これはIATAの報告データに基づく結果であり、世界中の全事象を数えたものではない。
この数字は、飛行の175%が影響を受けたという意味でもない。増加率は後の率を前の率と比べたもので、全飛行に占める影響便の割合とは異なる。地図、別事業者の報告、異なる期間の件数と比較する際は、報告範囲と定義の確認が必要だ。
別の例は、2025年9月10日付のICAO作業文書A42-WP/553にある。付録Aは、エストニア、フィンランド、ラトビア、リトアニア、ポーランド、スウェーデンが提出した証拠を掲載する。2024年11月から2025年2月に293便がスプーフィングを受け、2万1,000件を超えるADS-B測定がロストフ周辺の偽位置を示したという。測定数は2万1,000便という意味ではない。
同文書には、ロシア領内から発する干渉に関するICAO理事会の認定と、シカゴ条約違反を総会に報告する決定も記されている。提出された測定に裏付けられた、主体が明確な機関の認定であり、目立つ航空追跡画像から本稿が推測した責任帰属ではない。その時点の認定を、後に別の場所で起きたすべての異常に自動適用してはいけない。
検知、責任帰属、障害への備え
検知が問うのは、航法情報が妨げられたり偽られたりしたかである。責任帰属が問うのは、干渉がどこから来て、誰が責任を負うかだ。公開地図は傾向を示しても、双方を完全には解決しない場合がある。不自然な飛行経路、船舶の自動識別装置の異常、運航上の警告は、特定主体への証拠とする前に文脈が必要だ。
この区別は、十分な裏付けのある責任認定を無視することではない。認定した機関、示された証拠、対象地域、日付を明記するということだ。電子戦についての一般的な警告が、個別の船や便に関する根拠のない断定に変わることも防げる。
民間事業者の対策は、信頼できる代替手段と訓練済みの手順が中心となる。海事指針は、可能な範囲で独立した手段による確認を行い、レーダー航法、目視航法、天測、推測航法などの技能を維持するよう求める。これらにも限界がある。予備手段の名を挙げるだけでは、各船に備わっていることも、乗員が有効に使えることも証明できない。
より広い論点は情報の質にある。複数のシステムが役立つのは、その依存関係と故障の仕方を理解している場合だ。多層防空と同じく、機器を集めただけでは機能するシステムにならない。次の干渉報道では、影響を受けたサービス、観測期間、主張された仕組みの証拠、そして別途、発生源を特定する証拠の有無を確認したい。